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「電線を挟むだけで、どうして電流が分かる?」
「テスターがあっても、クランプメーターは必要?」
クランプメーターは、電線に流れる電流がつくる磁界を利用する測定器です。対応する回路なら、配線を切り離して電流計を直列に入れずに測定できます。
この記事では、測定の仕組み、電線1本を挟む理由、テスターとの違い、用途に合う機種の選び方を解説します。
クランプメーターとは?電線を挟んで電流を測る道具
クランプメーターは、開閉するセンサー部分で電線を囲み、電流を測る機器です。電流の単位はA(アンペア)です。
一般的なテスターで電流を測る場合は、対応する範囲で測定器を回路に直列接続します。一方、クランプメーターは電線の周囲から測定するため、回路を切り離す手間を減らせます。
ただし、測れる電流の種類や範囲は機種ごとに異なります。交流電流用、交流・直流対応、微小な漏れ電流用などを区別して選びます。
電線を挟むだけで測れる仕組み
電線に電流が流れると、その周囲に磁界が生じます。クランプメーターは、この磁界をセンサーで検出し、電流値として表示します。
電線の周囲に磁界が生じます。
電線を囲んだクランプ部で検出します。
対応範囲内の電流をAなどの単位で読み取ります。
図:測定原理の概念です。センサーの方式は機種によって異なります。
交流用では変流器方式など、直流対応ではホール素子を利用する方式などが使われます。直流は一定の電流でも測れる仕組みが必要なため、交流専用機で直流電流を測ることはできません。
負荷電流を測るとき、電線1本を挟む理由
通常の負荷電流を測るときは、測定したい電線1本をクランプします。
単相2線の行きと帰りをまとめて挟むと、正常な回路ではそれぞれの電流がつくる磁界が打ち消し合います。そのため、機器に電流が流れていても、表示がほぼ0Aになることがあります。
その電線に流れる負荷電流を測ります。測定位置などは説明書に従います。
磁界が打ち消し合い、通常の負荷電流は読み取れません。
図:単相2線回路の基本的な考え方です。漏れ電流の測定は、下記のように目的と機器が異なります。
電線を1本ずつに分けるために、コードの被覆を切らないでください。
家庭用コードは複数の電線が一体になっているため、そのまま外側から挟んでも負荷電流を測れません。対応する専用測定アダプターなど、用途に合う方法を使います。
漏れ電流を調べる場合は、複数線をまとめることもある
漏れ電流測定では、回路の往復電流の差を調べるため、漏れ電流用クランプメーターで、回路を構成する電線を所定の組み合わせでまとめて挟む方法があります。
通常の負荷電流測定とは、測定目的が異なります。接地線の扱いや測定箇所も含め、設備の回路構成と測定器の説明書に従います。
大きな電流用の機種でほぼ0Aと表示されても、微小な漏れ電流がないとは判断できません。
テスターとの違いは?どちらも役割がある
| 項目 | テスター | クランプメーター |
|---|---|---|
| 主な得意分野 | 電圧・抵抗・導通など | クランプ部を使った電流測定 |
| 電流の測り方 | 対応機種では一般に直列接続 | 電線を囲んで測定 |
| 機能の違い | 電流測定がない機種もある | 電圧・抵抗・導通も測れる機種がある |
| 選ぶポイント | 測定項目・確度・使用場所 | AC/DC・電流範囲・口径・使用場所 |
クランプメーターにもテスター機能を備えた製品があります。ただし、細かな測定範囲や確度まで同じとは限りません。
電圧・抵抗・導通の役割は、テスターの基本を解説した記事も参考にしてください。
クランプメーターの選び方|確認したい5項目
1.交流電流だけか、直流電流も必要か
建物の交流回路と、バッテリーなどの直流回路では必要な機能が異なります。製品に「DC電圧測定」と書いてあっても、DC電流まで測れるとは限りません。
2.測りたい電流に合う範囲・分解能か
最大何Aまで測れるかに加え、小さな電流をどの程度まで読み取れるかを確認します。表示の最小桁と、精度が保証される測定範囲は別です。
微小な漏れ電流を調べるなら、その用途に対応する機種が必要です。
3.電線が入る口径と、挟める形状か
電線の太さだけでなく、周囲の配線との間隔も関係します。無理に配線を押し広げたり、クランプを半開きにしたりすると、安全性や測定精度に問題が生じます。
4.真の実効値方式が必要か
交流の測定方式には、平均値整流方式と真の実効値方式(True RMS)などがあります。波形がひずむ負荷では、真の実効値方式が役立ちます。
ただし、True RMSでも、周波数帯域や波形のピークなどの制限があります。「どんな波形でも正確」とは考えず、製品仕様を確認しましょう。
5.測定カテゴリ・定格・使用環境が合うか
測定カテゴリは、設置場所で想定される過渡的な過電圧などに関係します。最大測定電圧だけでは、使用できる場所を判断できません。
クランプ部とリードによる電圧測定では、適用される定格が異なる場合もあります。本体・リード・アクセサリーそれぞれの指定を確認します。
商品例|HIOKI ACクランプメータ CM3289
交流の負荷電流を測る機種の一例が、日置電機のCM3289です。薄型・約100gで、真の実効値方式に対応しています。
付属リードを使えば、交流・直流の電圧、抵抗、導通も確認できます。
交流の負荷電流を測りたい方へ。携帯性と真の実効値方式、電圧・抵抗・導通の測定機能を備えた製品です。
価格・在庫・付属品は販売ページでご確認ください。
| 確認項目 | CM3289の仕様・用途 |
|---|---|
| クランプでの電流測定 | 交流電流。最大1000Aレンジ。 |
| 交流測定方式 | 真の実効値方式(True RMS) |
| 測定可能導体径 | 直径33mm以下 |
| リードを使う機能 | 交流・直流電圧、抵抗、導通 |
| 直流電流 | 非対応 |
| 微小な漏れ電流 | 専用の漏れ電流測定器の代用にはしない |
「DC電圧が測れる」と「DC電流が測れる」は別です。
CM3289は直流電圧に対応していますが、クランプでの直流電流測定には対応していません。バッテリー回路の電流を測りたい場合は、別途AC/DC対応機種を検討します。
測定前に確認すること
- 電流がACかDCか、想定値が測定範囲内かを確認する。
- 本体・クランプ部・リードに破損や汚れがないか確認する。
- 測定モードと使用定格が、対象回路に合っているか確認する。
- クランプを完全に閉じ、電線の位置を説明書の指定に合わせる。
- 直流対応機で必要なゼロ調整など、機種ごとの手順を守る。
挟むだけでも、通電設備の測定には危険があります。
盤内では露出した充電部や隣接端子に近づくことがあります。適切な知識・訓練を持つ担当者が、設備の安全手順と取扱説明書に従って測定してください。
まとめ
- クランプメーターは、電流がつくる磁界を利用して測る。
- 通常の負荷電流は、原則として電線1本を挟んで測る。
- 交流専用・交流直流対応・漏れ電流用を区別する。
- 測定範囲、分解能、口径、測定方式、安全定格を確認する。
- CM3289は交流負荷電流用。直流電流や微小な漏れ電流用とは異なる。
まずは「どの回路の、何の電流を測りたいか」を決めることが大切です。目的が明確になると、必要な機能と使い分けが見えてきます。


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