「スイッチのON・OFF」と「圧力が何MPaか」。
どちらも設備の情報ですが、伝えたい内容が違います。
制御では、デジタル信号とアナログ信号を、目的に合わせて使い分けます。
この記事では、まずPLCのON・OFF入出力とアナログ入出力を比較し、センサーやインバータでの使用例、デジタル通信との違いまで解説します。
デジタル信号とアナログ信号の違い
デジタル信号は、区別された状態や符号で情報を表す信号です。PLCの一般的なON・OFF入出力では、信号を2つの状態として扱います。
アナログ信号は、連続的に変化する量で情報を表す信号です。制御では、電圧や電流の大きさを、圧力・温度・速度指令などに対応させて使います。
設定した圧力以上になったかを伝える。
未到達
到達
現在の圧力がどれくらいかを伝える。
0.2MPa
0.5MPa
0.8MPa
図:伝える情報の違いを示す概念図です。アナログ側の数値は例であり、この3段階だけを表すものではありません。
デジタルでも、数値を伝えられます。
ON・OFF入出力はデジタル信号の一例です。通信では、複数のビットを使って圧力や速度などの数値も伝えられます。「数値だからアナログ」とは判断できません。
PLCのデジタル入出力|ON・OFFを扱う
PLCの一般的なデジタル入力では、押しボタンや検出センサーなどの状態を、ON・OFFとして取り込みます。
- 押しボタンの入力がONになった。
- 近接センサーの出力がONになった。
- リミットスイッチの接点が切り替わった。
デジタル出力では、表示灯や中継リレーなどをON・OFFしたり、インバータへ運転指令を伝えたりします。直接接続できるかは、電圧・電流・出力形式などの仕様で決まります。
ON=正常、OFF=異常とは限らない
ON・OFFの意味は、接点構成やセンサー設定、プログラムによって変わります。正常時にONで、異常や操作によってOFFになる構成もあります。
また、実際の入力にはONと認識する電圧範囲、OFFと認識する電圧範囲があります。必ず0Vと24Vの2値しか存在しない、という意味ではありません。
基本的な入出力の関係は、PLCの入力・出力とX・Yの意味を解説した記事も参考にしてください。
アナログ入出力|値の大きさを扱う
例えば、圧力センサーの測定値をPLCへ取り込む場合、対応するアナログ出力を持つセンサーと、アナログ入力機能を使います。
代表的な信号形式は、次のとおりです。
| 信号形式 | 情報を表すもの | 用途の例 |
|---|---|---|
| 0~10V | 電圧の大きさ | インバータの周波数指令など |
| 4~20mA | 電流の大きさ | 圧力・流量などの測定値の伝送 |
このほかにも1~5V、0~20mA、±10Vなどがあります。機器ごとに対応形式が異なるため、送り側と受け側を合わせる必要があります。
4~20mAの4mAは、測定範囲の下限を表せる
説明用に、圧力0~1.0MPaを4~20mAへ直線的に対応させたセンサーを考えます。
| 圧力 | 出力電流 |
|---|---|
| 0MPa | 4mA |
| 0.5MPa | 12mA |
| 1.0MPa | 20mA |
中間値は12mAです。4~20mAの変化幅は16mAなので、その半分の8mAを4mAへ加えます。
この例では、0MPaでも4mAが流れます。そのため、0mAなどの範囲外の状態を異常の手掛かりにできます。ただし、断線を自動検出できるか、何mAで異常とするかは、機器や設定によります。
PLC内部では、アナログ信号も数値になる
PLCは、受け取ったアナログ信号をそのままの形で計算するのではなく、A/D変換によってデジタルの数値に変換して扱います。
図:信号処理の概念です。変換後の数値範囲や設定方法は、使用機種によって異なります。
例えば、4~20mAを数値0~4000へ対応させる仕様・設定なら、12mAは2000に相当します。それを0~1.0MPaへ換算すると、0.5MPaです。
このように、元の数値範囲を圧力や温度などの範囲へ換算する処理を、スケーリングと呼びます。
分解能と精度は別のもの
A/D変換には、値を区切る細かさである分解能があります。PLCへ取り込んだ値は、無限に細かい数値にはなりません。
ただし、細かく表示できることと、実際の値に近いことは別です。センサーの精度、入力ユニットの誤差、ノイズ、変換周期なども関係します。
反対に、PLCの数値からアナログ信号をつくるのがD/A変換です。インバータへ電圧や電流で周波数指令を送る場合などに使います。
インバータでは、デジタルとアナログをどう使う?
代表例として、運転指令をON・OFF信号、周波数指令を0~10Vのアナログ信号で伝える構成があります。
運転指令
運転する・停止するを伝える。
周波数指令
目標とする周波数の大きさを伝える。
図:一般的な構成の一例です。実際の配線図ではなく、安全回路や電源配線は省略しています。
例えば、0~10Vを0~50Hzへ直線的に換算する設定なら、5Vは25Hzの指令になります。ただし、指令元、上下限、加減速などの設定によって、実際の出力は変わります。
詳しくは、インバータの運転指令と周波数指令の違いも参考にしてください。
周波数指令は、デジタルでも伝えられる
インバータの周波数は、アナログ信号だけで指定するものではありません。
- 多段速入力:ON・OFF入力の組み合わせで、登録した周波数を選ぶ。
- デジタル通信:PLCから周波数の数値データを送る。
「速度のような連続量を扱うから、配線も必ずアナログ」というわけではありません。何の情報かと、どう伝えるかを分けて考えることが大切です。
デジタル信号とアナログ信号を比較
| 項目 | ON・OFFのデジタル入出力 | アナログ入出力 |
|---|---|---|
| 基本的な扱い | 2つの状態を区別する | 電圧・電流の大きさを値に対応させる |
| 入力例 | 押しボタン、検出センサー | 圧力・流量などの測定信号 |
| 出力例 | 表示灯、リレー、運転指令 | 周波数指令、調節弁の開度指令 |
| 主な確認点 | 定格電圧、ON/OFF条件、出力形式、応答時間 | 電圧/電流形式、信号範囲、換算、精度、変換周期 |
上の表は、一般的なON・OFF入出力との比較です。デジタル通信やパルス信号など、別の形式もあります。
接続前に確認したいポイント
- 信号の種類:ON・OFF、電圧、電流、通信のどれか。
- 送り側と受け側:片方の出力が、もう片方の入力仕様に適合するか。
- 信号範囲:0~10Vや4~20mAなどが一致しているか。
- 換算設定:下限・上限が、圧力や周波数のどの値に対応するか。
- 異常時の扱い:断線、範囲外、通信断などをどう検出して処理するか。
DC24V電源と、0~10Vの信号入力を混同しないでください。
信号の種類が違う端子へ接続すると、機器の破損につながるおそれがあります。4~20mAでも、必要なループ電源、入力方式、負荷条件などの確認が必要です。配線は型式に対応する説明書と回路図に従います。
アナログ信号では、ノイズや接地電位差などへの配慮も必要です。配線の分離、シールド、接地、絶縁の方法は、使用機器と設備の設計指示に合わせます。
まとめ
- デジタル信号は、区別された状態や符号で情報を表す。
- PLCの一般的なデジタル入出力は、ON・OFFを扱う。
- アナログ信号は、電圧・電流の大きさなどで連続量を表す。
- PLCでは、アナログ信号をA/D変換して数値で扱う。
- デジタル通信でも、圧力・温度・速度などの数値を伝えられる。
図面を見るときは、「何を伝える信号か」「どんな形式で伝えるか」を確認しましょう。この2つを分けて考えると、センサー・PLC・インバータのつながりが理解しやすくなります。


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