ELECLISH NOTE / 学科試験対策
電圧を変える。回転させる。
力率を改善する。
第二種電気工事士の学科を勉強していると、変圧器・電動機・コンデンサなど、さまざまな電気機器が登場します。
名前だけを覚えると、用途や特徴を説明する問題で迷いやすくなります。まずは「その機器は何をするものか」を、身近な使われ方と結び付けて整理しましょう。
この記事では、3つの機器の基本的な役割と、学習で混同しやすいポイントを解説します。
この記事は、学科の基礎知識を整理するための解説です。
変圧器は一般的な交流用、電動機は主に誘導電動機、コンデンサは主に力率改善用を取り上げます。機器の選定・配線・点検作業の手順を示すものではありません。
まずは3つの機器の役割を比べよう
最初に、名前と主な働きを対応させます。
| 機器 | 主な役割 | 結び付けたい言葉 |
|---|---|---|
| 変圧器 | 交流の電圧を変える | 電磁誘導・巻線・巻数 |
| 電動機 | 電気エネルギーを機械的な動力に変える | モーター・回転・誘導電動機 |
| 進相コンデンサ | 負荷による遅れ力率を改善する | 無効電力・力率改善 |
例えば、「ポンプを回す」という説明なら電動機、「交流電圧を下げる」なら変圧器です。このように、機器名を隠しても役割から答えられる状態を目指しましょう。
変圧器|電磁誘導を利用して交流の電圧を変える
電源側が一次、負荷側が二次
変圧器は、電磁誘導を利用して交流の電圧を変える機器です。トランスとも呼ばれます。
一般的な二巻線変圧器では、鉄心と2つの巻線を使います。電源につながる巻線を一次巻線、負荷につながる巻線を二次巻線といいます。
一次側の交流によって鉄心内の磁束が変化し、その変化によって二次側に電圧が生じます。
巻数の違いが、電圧の違いにつながる
理想的な変圧器では、一次と二次の電圧の比は、巻数の比に対応します。
- 二次巻線の巻数が一次より少ないと、二次電圧は低くなる。
- 二次巻線の巻数が一次より多いと、二次電圧は高くなる。
例えば、一次電圧が200V、一次と二次の巻数比が2:1なら、理想的な二次電圧は100Vです。まずは「巻数が少ない側は電圧も低い」という対応を理解しましょう。
変圧器の基本:交流・電磁誘導・巻数比で電圧を変える。
電圧は変えても、周波数は変えない
通常の変圧器は、一次と二次で周波数を変える機器ではありません。例えば、50Hzの交流を変圧しても、それだけで60Hzになるわけではありません。
また、一般的な交流用変圧器へ直流をそのまま加えても、交流と同じように連続して変圧することはできません。直流を接続してよいという意味ではないため、学習上も区別しておきましょう。
「変圧器」と「交流・直流を変換する装置」を混同しない。
変圧器の基本的な役割は交流電圧の変換です。「交流を直流へ変える」という説明は、整流器などの役割と区別します。
電動機|電気を使って機械を動かす
モーターは、回転する動力を取り出す機器
電動機は、電気エネルギーを機械的なエネルギーに変える機器です。モーターと呼ぶと、イメージしやすいでしょう。
ポンプ、送風機、コンベヤなどは、モーターの回転を利用して動きます。
これに対し、機械的なエネルギーから電気エネルギーを取り出す機器が発電機です。電動機と発電機は、エネルギー変換の向きを区別して覚えましょう。
誘導電動機は、電磁誘導によって回転力を生む
誘導電動機では、固定子がつくる回転磁界によって回転子に電流が誘導され、回転力が生まれます。
- 固定子:ステーター。回転磁界をつくる側。
- 回転子:ローター。回転して軸の動力を取り出す側。
「回転磁界」は、磁界の向きが時間とともに回転するように変化することです。固定子そのものが回っているわけではありません。
三相と単相では、始動の仕組みが異なる
三相誘導電動機は、位相のずれた三相交流によって回転磁界をつくります。
単相誘導電動機では、コンデンサや補助巻線などを使って始動に必要な回転力を得る方式があります。ただし、単相電動機の始動方式がすべて同じというわけではありません。
ここでは、「モーターに付くコンデンサには、始動や運転に関わるものもある」と押さえておきましょう。
電動機の基本:電気を動力へ。誘導電動機は、回転磁界と電磁誘導。
コンデンサ|力率改善用と、モーター用を区別する
コンデンサには、電荷を蓄える性質がある
コンデンサは、電荷を蓄える性質を持つ部品です。その性質を利用して、さまざまな回路に使われます。
そのため、名前を見て「全部が力率改善用」と判断しないことが大切です。問題文に書かれた用途まで確認しましょう。
進相コンデンサは、遅れ力率を改善する
誘導電動機などの負荷では、電流の位相が電圧より遅れ、遅れ無効電力が生じます。力率改善用の進相コンデンサは、進み無効電力でこれを補います。
負荷全体として遅れの成分を減らすことで、電源側から見た力率を改善します。
同じ電圧・同じ有効電力で考えると、力率が改善された区間では電流を減らせます。適切な設置によって、配電線や変圧器の損失低減などにつながります。
「力率改善=機械の仕事量や消費電力量が、その割合で減る」ではありません。
例えば、力率が改善して電源側の電流が減っても、同じ仕事をするモーターの有効電力が同じ割合で減るわけではありません。電流・有効電力・無効電力を分けて考えましょう。
同じコンデンサでも、使う目的を確認する
| 用途 | 学習上のポイント |
|---|---|
| 設備の力率改善 | 遅れ無効電力を補う進相コンデンサ |
| 単相電動機の始動・運転 | 巻線電流の位相をずらし、回転力を得るために使う方式がある |
回転磁界を得るために使うコンデンサと、設備全体の力率を改善するコンデンサは、用途を分けて理解します。
進相コンデンサの基本:遅れ無効電力を補い、力率を改善する。
混同しやすい説明を、正しい内容に直して覚える
機器の名前だけでなく、「その説明のどこが違うのか」を言葉にしてみましょう。
| 混同しやすい説明 | 正しい整理 |
|---|---|
| 変圧器は周波数を変える | 通常の変圧器は、周波数を変えずに交流電圧を変える |
| 変圧器は交流を直流にする | 交流を直流にするのは、整流器などの役割 |
| 電動機は機械の動力から電気をつくる | それは発電機の働き。電動機は電気から動力を得る |
| 回転磁界とは固定子が回ること | 磁界の向きが回転するように変化すること |
| コンデンサは、どれも設備の力率改善用 | 用途は複数あり、モーターの始動・運転などにも使われる |
| 力率改善で、モーターの有効電力も同じ割合で減る | 電源側の電流の低減と、モーターの有効電力を区別する |
学科の覚え方|名前・役割・理由をセットにする
例えば進相コンデンサなら、「力率改善」という言葉だけで終わらず、次の3つをつなげて説明してみましょう。
- 名前:進相コンデンサ。
- 役割:負荷による遅れ力率を改善する。
- 理由:進み無効電力によって、遅れ無効電力を補うため。
変圧器なら「巻数と電圧」、誘導電動機なら「回転磁界と回転子」を結び付けます。難しい言葉を一度に増やすより、1つの機器を短く説明できるようにしましょう。
過去問は、選択肢の間違いまで確認する
過去問を解いた後は、正答だけでなく、ほかの選択肢がなぜ違うのかも確認します。
「周波数を変える」と書かれた選択肢で迷ったなら、変圧器の役割を復習する。「電気から動力」か「動力から電気」か迷ったなら、電動機と発電機を並べて整理する。間違えた理由に合わせて戻ると、復習する範囲を絞れます。
今回の3機器を整理できたら、次に同期速度・すべり・変圧比・力率の計算へ進むと、式が何を表しているのか理解しやすくなります。
まとめ
- 変圧器:電磁誘導を利用して交流電圧を変える。通常は周波数を変えない。
- 電動機:電気エネルギーを機械的な動力に変える。
- 誘導電動機:回転磁界による電磁誘導で回転力を生む。
- 進相コンデンサ:遅れ無効電力を補い、力率を改善する。
- コンデンサは、機器名だけでなく使われる目的も確認する。
まずは「電圧を変える・動力を得る・力率を改善する」の3つを、それぞれの機器名に結び付けましょう。そのうえで原理と用途を説明できるようにすると、学科の知識を整理しやすくなります。
参考資料
学習内容を絞って説明しているため、各機器のすべての種類・用途を網羅するものではありません。

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