「0~10Vと4~20mAは、何が違う?」
「なぜ4mAなのに、測定値は0になる?」
どちらも、圧力・流量・速度指令などの大きさを伝えるアナログ信号です。
この記事では、信号の仕組み、配線による影響、PLCでの換算方法、接続前に確認する仕様を整理します。
0~10Vと4~20mAの違い
0~10Vは電圧の大きさ、4~20mAは電流の大きさで情報を伝えます。同じ圧力を測る場合でも、出力する電気信号の形式が異なります。
0% → 0V
50% → 5V
100% → 10V
0% → 4mA
50% → 12mA
100% → 20mA
図:各信号範囲を0~100%へ直線的に対応させた例です。実際の測定範囲や換算設定は機器ごとに確認します。
例えば、圧力0~1.0MPaを表す設定なら、0.5MPaは5V、または12mAに相当します。電流信号だから、電圧信号より大きな圧力を表すという意味ではありません。
信号の基本的な分類は、デジタル信号とアナログ信号の違いで解説しています。
なぜ0~20mAではなく、4~20mAを使う?
4~20mAでは、測定範囲の下限でも4mAを流します。このように、ゼロの測定値をゼロではない信号で表す考え方をライブゼロと呼びます。
測定値のゼロと、電流が流れない状態を区別しやすい
圧力0MPaを4mAに対応させた場合、正常な下限値でも電流が流れています。断線や電源喪失などで0mAになれば、正常な下限値とは異なる状態だと判断する手掛かりになります。
0mAだから、必ず断線とは限りません。
電源の停止、配線間違い、機器故障などでも電流が流れなくなる場合があります。また、断線検知機能の有無や判定値は機種・設定によって異なります。
0~20mAも実際に使われる信号形式です。ただし、下限値が0mAなので、信号値だけでは正常なゼロと断線などを区別しにくくなります。
2線式伝送器の動作電力も供給できる
2線式のループ給電型伝送器は、同じ2本の線で電源供給と信号伝送を行います。測定範囲の下限でも流れる電流を利用して、内部回路を動作させます。
ただし、4~20mAの機器が、すべて2線式というわけではありません。電源と信号の配線が分かれた製品もあります。
配線が長いと、どちらが影響を受けやすい?
電圧信号は、受け側に届く電圧が重要
電圧信号では、受信機器の入力端子間に何V届くかが重要です。配線抵抗と入力電流による電圧降下や、送り側と受け側の基準電位の差などが、誤差の原因になります。
一般的な電圧入力は入力抵抗を高くして、流れる電流を小さくしています。そのため、「少しでも配線が長いと使えない」というものではありません。
電流信号は、電圧の余裕がある範囲で電流を保つ
4~20mAの直列ループでは、同じ電流が各部分を流れます。送り側は、配線や受信機器で電圧が下がっても、動作条件の範囲内で指定電流を保つように働きます。
そのため、適切に設計された電流信号は、長距離の伝送で使いやすい形式です。ただし、配線抵抗の影響が消えるわけではありません。
4~20mAにも、負荷抵抗と電源電圧の制限があります。
配線・入力抵抗・中継機器などで電圧を使い過ぎると、伝送器が動作に必要な電圧を確保できず、20mAまで出力できないなどの問題が起こります。
電圧の余裕を確認する計算例
説明用に、次の条件の2線式ループを考えます。
- 電源電圧:24V
- 伝送器に必要な最低電圧:12V
- 受信側の入力抵抗:250Ω
- 往復の配線抵抗:合計100Ω
- ほかの機器による電圧降下はないものとする
20mAのとき、入力抵抗と配線で使う電圧は次のとおりです。
伝送器に残る電圧:24V − 7V = 17V
この条件では17Vが残り、必要な12Vを上回ります。実際の設計では、電源の変動、機器の許容負荷、温度なども含めて余裕を確認します。
ノイズに強いのはどちら?
4~20mAは、電圧信号に比べてノイズの影響を抑えやすい構成にでき、工場の計装信号で広く使われます。
ただし、電流信号ならノイズ対策が不要、という意味ではありません。インバータやモーターの動力線との配線分離、シールド、接地、絶縁などの検討は必要です。
シールドの接地方法などは、一律に決めつけず、使用機器の説明書と設備の設計指示に従います。
PLCで圧力などの数値に換算する方法
アナログ信号を、圧力・温度・流量などの値へ換算する処理をスケーリングと呼びます。
4~20mAを0~1.0MPaへ換算する例
信号が測定範囲へ直線的に対応している場合、次の式で求められます。IはmA単位の数値として使います。
| 電流 | 範囲に対する割合 | 圧力 |
|---|---|---|
| 4mA | 0% | 0MPa |
| 8mA | 25% | 0.25MPa |
| 12mA | 50% | 0.50MPa |
| 16mA | 75% | 0.75MPa |
| 20mA | 100% | 1.00MPa |
例えば12mAなら、(12 − 4)÷ 16 = 0.5なので、圧力は0.5MPaです。12 ÷ 20で計算しないことがポイントです。
PLCが扱うのは、A/D変換後の数値
実際のPLCでは、mA値を直接使うのではなく、アナログ入力のA/D変換後の数値を使うことが一般的です。
例えば、4~20mAが数値0~4000に対応する仕様・設定なら、数値2000が50%に相当します。ただし、0~4000は共通仕様ではありません。変換範囲やスケーリング機能を説明書で確認します。
測定範囲の下限がゼロでない場合は、その下限値も加えて換算します。また、範囲外や断線時の値を通常の測定値として制御に使わないよう、異常処理を分けます。
接続するときに合わせる仕様
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 信号形式 | 電圧出力か電流出力か。受信側も対応するか。 |
| 信号範囲 | 0~10V、1~5V、4~20mAなどが一致しているか。 |
| 給電方式 | ループ給電か、別電源か。電源をどの機器が供給するか。 |
| 負荷条件 | 許容負荷抵抗、入力抵抗、配線抵抗、動作電圧。 |
| 絶縁・共通端子 | チャンネル間や電源との絶縁、COMの共用条件。 |
| 設定 | 端子・スイッチ・ソフト設定・換算範囲・異常判定。 |
「4~20mA同士だから、そのまま接続できる」とは限りません。
受信側がループ電源を供給する構成と、外部電源が必要な構成があります。電源の重複や誤接続を避けるため、双方の型式に対応する接続図で確認します。
入力レンジをソフトで選ぶだけでなく、端子や切り替えスイッチの変更が必要な機種もあります。設定だけで電圧入力と電流入力を自由に入れ替えられるとは限りません。
0~10Vと4~20mAは、どう使い分ける?
使い分けは、配線距離だけで決めず、接続する機器の対応形式と、設備の条件から判断します。
- 0~10V:対応する機器間の指令伝送などで使う。入力抵抗や基準電位、配線の影響を確認する。
- 4~20mA:計装用センサーや離れた機器との伝送などで使う。ループ電源と許容負荷を確認する。
どちらもインバータの周波数指令に使われる場合があります。指令元や換算設定との関係は、インバータの運転指令と周波数指令も参考にしてください。
まとめ
- 0~10Vは電圧、4~20mAは電流の大きさで情報を伝える。
- 4mAを下限値にすることで、正常なゼロと無電流状態を区別しやすくなる。
- 4~20mAも、電源電圧と負荷抵抗の条件を守る必要がある。
- 換算は、信号の下限と変化幅を基準に行う。
- 給電方式・入力仕様・換算設定まで合わせて接続する。
まずは「0%に対応する信号値」と「100%までの変化幅」を確認しましょう。ここを押さえると、センサーの仕様書やPLCの数値が読み取りやすくなります。


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