オープンコレクタとラインドライバの違いとは?エンコーダの出力方式を初心者向けに解説【制御・PLC】

制御・PLC
ENCODER SIGNALS / OUTPUT INTERFACE

「エンコーダのオープンコレクタとラインドライバは、何が違う?」
「A+・A−は、どこにつなぐ?」

同じ回転情報を出すエンコーダでも、信号を送り出す回路と、それを受け取る入力回路が異なります。

この記事では、インクリメンタルエンコーダのパルス出力を中心に、2つの出力方式、差動信号、PLCとの接続で確認する仕様を解説します。

違いは、パルス信号を送り出す方法

オープンコレクタは、出力トランジスタをON・OFFして、接続先の回路に電流を流す方式です。

エンコーダで使われるRS-422系のラインドライバは、対になる信号を専用回路で送り、受信側で2本の電圧差を判定する方式です。

どちらもデジタルのパルス信号を伝えます。「オープンコレクタはデジタル、ラインドライバはアナログ」という違いではありません。

オープンコレクタとは?外部回路と組み合わせて使う

ここではNPNオープンコレクタを例にします。出力トランジスタがONになると、出力端子から0V側へ電流を流します。

NPNオープンコレクタの基本
出力トランジスタON
信号用電源+ → 受信側の負荷回路 → OUT → 出力トランジスタ → 0V
出力トランジスタOFF
出力側は電流を吸い込む動作をやめる。OUTの電位は、受信側の回路やプルアップなどによって決まる。

図:概念的な説明です。エンコーダへの給電や保護回路は省略しています。実機の結線図としては使えません。

出力トランジスタがOFFになっても、出力回路自身が必ずHレベルの電圧を送り出すわけではありません。受信側の入力回路や、適切なプルアップ回路と組み合わせて信号を成立させます。

PLC入力に必要な回路が内蔵されている場合もあるため、外付け抵抗を自己判断で追加しないでください。

出力電圧・電流と、立ち上がり時間を確認する

外部の信号用電源は、出力トランジスタの許容電圧と受信側の定格に合わせます。オープンコレクタだから、どんな電圧でも使えるわけではありません。

配線の静電容量や負荷回路によって、信号の立ち上がりが遅くなる場合もあります。高速パルスでは、出力の応答周波数だけでなく、配線と受信側も含めた確認が必要です。

PNPオープンコレクタを備える製品もあります。電流経路の違いは、NPNとPNPの違いを解説した記事で整理しています。

ラインドライバとは?2本の差を使って伝える

エンコーダで使われる代表的なラインドライバ出力は、RS-422-Aなどに対応した差動伝送方式です。受信には、適合するラインレシーバや差動入力回路を使います。

例えばA相を、A+とA−という1組で送ります。2本は互いに反転する信号として動作し、受信側はその電圧差を見て状態を判定します。

説明上の状態 A+ A− 電圧差の向き
状態1 高い側 低い側 A+ − A− が正
状態2 低い側 高い側 A+ − A− が負

表は安定した2状態の概念です。実際の電圧、判定しきい値、信号の極性は製品仕様で確認します。

A−は、0Vやアースの端子ではありません。
A−も変化する信号線です。0V・GND・保護接地とは区別し、対応する受信端子へ接続します。

ノイズの影響を抑えやすい理由

ツイストペアなどで対の配線を適切に構成すると、2本に同じ向きで乗るノイズの影響を、差動受信で抑えやすくなります。

ただし、ノイズが完全に消えるわけではありません。受信側の許容同相電圧範囲、ケーブル、配線経路、シールドや接地の条件も守る必要があります。

A相・B相と、A+・A−を混同しない

一般的なA/B相インクリメンタルエンコーダでは、位相が約90度ずれたA相とB相を使い、パルス数や先行する相から回転量・方向を判断します。

一方、A+とA−は、同じA相を差動で送るための1組です。A相とB相の関係とは異なります。

差動出力の信号ペアの例
A相のペアA+ と A−
B相のペアB+ と B−
Z相のペアZ+ と Z−:原点基準などに使う信号

図:A/B/Z相を差動出力する製品の一例です。反転信号は上線付き記号や別名称で表されることもあります。名称だけで極性を決めず、メーカーの信号表を確認します。

Z相は、一般的に1回転の基準位置を示す信号として使われます。出力相数、パルス幅、方向の定義などは、型式ごとに確認してください。

オープンコレクタとラインドライバを比較

項目 オープンコレクタ 差動ラインドライバ
基本的な構成 出力トランジスタと外部回路で信号をつくる 対の信号を駆動し、受信側で電圧差を判定
受信側 NPN・PNPなどの出力に適合する入力 規格・信号レベルが適合する差動入力
配線 各相の信号線と、指定された共通線など 各相の信号ペアと、指定された基準線など
高速・長距離 配線容量や負荷回路の影響を確認 高速・長距離伝送に適した構成を取りやすい
注意点 許容電圧・電流、残留電圧、応答特性 差動入力の適合、信号ペア、終端、同相電圧

「何mまで」「何kHzまで」といった性能は方式名だけでは決まりません。出力・入力・ケーブルを組み合わせた条件で判断します。

PLCへ接続する前に確認すること

1.電源電圧と信号レベルを分けて見る

エンコーダ本体の電源がDC24Vでも、出力信号が24Vとは限りません。電源仕様と出力回路仕様は、別々に確認します。

差動ラインドライバ出力を、通常の24V入力へ直接つなぐなど、信号形式が合わない接続は避けます。変換が必要な場合は、周波数や遅延まで適合する変換器を検討します。

2.必要なパルス周波数を計算する

ここでは、1相が1回転当たりに出すパルス数をPPRとします。1,024PPRのエンコーダを1,500min⁻¹で回す場合、1相のパルス周波数は次のとおりです。

1,024 × 1,500 ÷ 60 = 25,600Hz
1相当たり:25.6kHz

エンコーダの応答周波数と、受信側の許容入力周波数を確認します。A/B相の4逓倍カウントでは、この例の計数速度は毎秒102,400カウントになりますが、1相の波形周波数自体が4倍になるわけではありません。

仕様書の「分解能」「パルス数」「最大計数速度」が、どの数え方を指すかも確認しましょう。通常の入力をプログラムで読むだけでは、短いパルスを取りこぼす場合があります。

3.信号ペア・終端・基準線を確認する

差動伝送では、A+とA−など、同じ相のペアを指定どおりに配線します。終端抵抗が内蔵か外付けか、必要な値や接続位置も受信機器の説明書で確認します。

0Vや信号基準線、シールドの接続方法も重要です。「差動だから共通線は不要」「終端抵抗は何でも同じ」とは判断しないでください。

カウントしない・数が合わないときの確認点

  • 出力と入力:オープンコレクタ/差動入力の組み合わせが合っているか。
  • 電源と信号:給電電圧、信号レベル、共通線が正しいか。
  • 相とペア:A/Bの割り当てや、各相の非反転・反転出力を取り違えていないか。
  • 計数設定:1相・2相、逓倍、入力フィルタなどが仕様に合っているか。
  • 伝送条件:周波数、ケーブル長、終端、ノイズ対策が適切か。

テスターで平均的な電圧が見えても、パルス波形の良否までは分かりません。波形確認には、適切な測定器・プローブと測定方法が必要です。

配線変更や波形測定は、設備の安全手順に従います。
誤った信号入力が機械の位置・速度制御へ影響する場合があります。測定器の接地や入力定格も確認し、自己判断で信号線を短絡しないでください。

まとめ

  • オープンコレクタは、出力トランジスタと外部回路を組み合わせて使う。
  • 差動ラインドライバは、対の信号を送り、電圧差で受信する。
  • A相・B相と、A+・A−は別の関係。
  • 電源電圧、信号レベル、周波数、終端・配線条件を確認する。
  • 出力方式だけでなく、受信側との組み合わせで選ぶ。

仕様書を見るときは、「どんな信号を出すか」と「接続先が何を受けられるか」を並べて確認しましょう。これが、エンコーダとPLCを正しく組み合わせる基本です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました