ELECTRICAL BASICS / 電気の基礎
回路の「直列」と「並列」は、電気を学ぶうえで最初に押さえたい基本です。配線のつなぎ方が変わると、電流や電圧の関係も変わります。
現場では、直列を「シリース」や「シリーズ」、並列を「パラ」と呼ぶことがあります。英語のseries(直列)とparallel(並列)に由来する言葉です。
この記事では、直列・並列の仕組み、合成抵抗と電流の計算、制御回路での使われ方まで、初心者向けに解説します。
SERIES
直列|シリース
部品を順につなぎ、電流の通り道を1本にする接続です。
電流が同じ・電圧は分かれる
合成抵抗は、それぞれの抵抗を足して求めます。
PARALLEL
並列|パラ
同じ2点の間に複数の枝をつくる接続です。
電圧が同じ・電流は分かれる
全体の電流は、それぞれの枝の電流を足して求めます。
直列回路とは?|電流の通り道が1本
直列回路は、部品を順につないだ、分岐のない回路です。電流は同じ経路を通るため、直列に接続されたすべての部品に同じ電流が流れます。
一方、電源の電圧は各部品に分配されます。抵抗を直列につないだ場合、それぞれにかかる電圧は抵抗値に比例します。
同じ抵抗値なら電圧も等しく分かれます。抵抗値が違えば、大きい抵抗に大きな電圧がかかります。
直列の途中が切れるとどうなる?
ランプを直列につないだ単純な回路では、1つのランプが断線して電流の経路が開くと、すべてのランプが消えます。電流が通れる別の経路がないためです。
ここで大切なのは、「断線などで回路が開いた場合」という条件です。部品の故障には短絡などもあるため、「どんな故障でも全部止まる」とは限りません。
並列回路とは?|電流の通り道が分かれる
並列回路は、同じ2点の間に部品を接続して、複数の電流経路をつくる回路です。それぞれの経路を「枝」や「分岐」と呼びます。
各枝は同じ2点につながっているため、各枝にかかる電圧は同じです。一方、電流は枝ごとの抵抗値に応じて分かれます。
同じ電圧がかかる抵抗負荷なら、抵抗が小さい枝ほど大きな電流が流れます。
家庭の照明やコンセントも並列の考え方
家庭の照明やコンセントは、各負荷が所定の電源電圧を受けられるよう、基本的に並列の考え方で接続されています。1つの照明を消しても、ほかの照明を使い続けられるのはこのためです。
ただし、各枝が独立していることと、共通の配線やブレーカーが独立していることは別です。1つの機器で短絡や漏電が起き、共通の保護機器が動作すると、ほかの機器も止まる場合があります。
直列と並列の違いを比較
| 比較項目 | 直列|シリース | 並列|パラ |
|---|---|---|
| 電流の経路 | 分岐のない1本の経路 | 複数の枝に分かれる |
| 電流 | 各部品で同じ | 全体の電流は各枝の電流の合計 |
| 電圧 | 各部品の電圧の合計が電源電圧になる | 各枝で同じ |
| 抵抗を追加すると | 合成抵抗が大きくなる | 並列の枝を追加すると合成抵抗が小さくなる |
| 1つの負荷が断線すると | 単純な直列回路では全体に電流が流れなくなる | 電源が維持されれば、ほかの枝は動作できる |
| 代表的な用途 | 抵抗の分圧、接点によるAND条件 | 負荷への給電、接点によるOR条件 |
抵抗の説明は、正の有限抵抗値を持つ抵抗器を接続した基本回路を想定しています。
直列回路の計算|抵抗を足して求める
抵抗を直列につなぐと、合成抵抗は各抵抗の合計になります。合成抵抗とは、複数の抵抗をひとつの抵抗として見たときの値です。
SERIES RESISTANCE
R = R₁ + R₂ + …
直列の合成抵抗は、そのまま足し算
EXAMPLE|5Ωと10Ωを直列に接続
抵抗R₁=5Ω、R₂=10Ωを直列につなぎ、全体に200Vをかける場合を考えます。
STEP 01|合成抵抗を求める
= 15Ω
STEP 02|回路の電流を求める
= 200 ÷ 15
≈ 13.33A
直列回路なので、5Ωにも10Ωにも約13.33Aの電流が流れます。
STEP 03|各抵抗にかかる電圧を求める
V₂ = I × R₂ = (200 ÷ 15) × 10 ≈ 133.33V
電圧の合計は約200Vです。抵抗値が2倍のR₂には、R₁の2倍の電圧がかかります。
まず合成抵抗から回路全体の電流を求め、その電流を使って各抵抗の電圧を計算すると整理しやすくなります。
並列回路の計算|枝の電流を足して求める
並列では各枝に同じ電圧がかかります。それぞれの枝の電流をオームの法則で求め、合計すれば電源から流れる全体の電流がわかります。
PARALLEL RESISTANCE
1 / R = 1 / R₁ + 1 / R₂ + …
抵抗が2つなら、R = (R₁ × R₂) ÷ (R₁ + R₂)
EXAMPLE|10Ωと20Ωを並列に接続
抵抗R₁=10Ω、R₂=20Ωを並列につなぎ、各枝に200Vをかける場合を考えます。
STEP 01|各枝の電流を求める
I₂ = 200 ÷ 20 = 10A
STEP 02|全体の電流を求める
= 20 + 10
= 30A
STEP 03|合成抵抗を求める
= 200 ÷ 30
≈ 6.67Ω
2つの抵抗用の公式でも、(10 × 20) ÷ (10 + 20) ≈ 6.67Ωとなります。合成抵抗は、いちばん小さい10Ωよりも小さくなります。
各枝に電源電圧を当てはめて電流を求めましょう。抵抗が小さい枝に、より大きな電流が流れます。
計算例は、抵抗値を一定とみなした抵抗負荷の学習用です。200Vでの実験を勧めるものではありません。交流では純抵抗負荷の実効値として計算できますが、モーターなどの交流負荷にはインピーダンスや力率なども関係します。
制御回路では、直列がAND・並列がORになる
ここまでの抵抗回路に加えて、接点のつなぎ方にも直列・並列の考え方が使われます。
SERIES / AND
直列接点|すべて閉じる
2つの接点を直列につなぐと、両方が閉じたときだけ、その経路に電流が流れます。
AもBも成立 → 動作を許可
「装置が所定位置にある」かつ「運転許可がある」といった条件に使えます。
PARALLEL / OR
並列接点|どちらかが閉じる
2つの接点を並列につなぐと、少なくとも一方が閉じれば、電流の経路が成立します。
AまたはBが成立 → 動作を許可
複数箇所の始動ボタンなど、どちらからでも操作できる条件に使えます。
ただし、「スイッチがON」という言い方だけでは、接点の状態が曖昧になる場合があります。a接点かb接点かを確認し、実際に接点が閉じる条件で考えましょう。
PLCのラダー図でも考え方は共通
ラダー図では、条件を直列に並べるとAND、並列に分岐させるとORの論理を表せます。これはプログラム上の条件の組み合わせであり、PLC内部に実際の接点を直列・並列配線しているわけではありません。
現場での使われ方と注意点
照明や複数機器への給電
照明や複数の負荷へ給電するときは、並列の構成が基本です。各負荷が必要な電源電圧を受け、枝ごとのスイッチや開閉器によって運転を切り替えられます。
一方、共通の供給線には、同時に使用する負荷の電流が流れます。枝ごとの電流だけでなく、共通部分に流れる電流も確認する必要があります。
非常停止や安全スイッチ
停止用の接点を直列につなぎ、「どれかひとつが開けば制御経路を遮断する」という構成が使われることがあります。
ただし、接点を直列につなぐだけで、安全回路が完成するわけではありません。接点の溶着や配線の短絡などを考慮し、必要な安全性能に応じて二重化、故障診断、安全リレーや安全PLCなどを組み合わせます。
安全機器の接続方法や接続台数は、メーカーの指定を確認します。また、停止信号が入っても機械が瞬時に止まるとは限らないため、停止時間や停止方式も重要です。
配線やブレーカーの選定
電流の計算は選定の出発点ですが、それだけで電線サイズやブレーカーの定格は決まりません。許容電流、配線方法、周囲温度、電圧降下、始動電流、保護機器の特性なども確認します。
並列接続は、故障の影響を完全に分離する仕組みではありません。枝の短絡や漏電で共通の保護機器が動作すると、ほかの枝も停止する場合があります。「断線」「短絡」「保護機器の動作」を分けて考えましょう。
回路図を見るときのチェックポイント
- 同じ経路か、分岐しているか:図の上下左右ではなく、接続先を追って確認する。
- 何が共通か:直列なら電流、並列なら電圧を基準に考える。
- 全体と枝を分ける:共通の供給線に流れる電流と、各枝の電流を区別する。
- 故障の種類を分ける:回路が開く場合と、短絡する場合で動作が変わる。
- 負荷の種類を確認する:抵抗器の計算を、モーターなどにそのまま当てはめない。
図面で縦に描かれているから直列、横に並んでいるから並列、という判断はできません。「どの点とどの点につながっているか」を追うことが大切です。
実際に結線変更を行う場合は、設備の手順に従って電源を遮断し、再投入防止と無電圧の確認を行います。導通・抵抗の測定は、電源を切り、残留電荷などの影響を除いた状態で行います。
まとめ
- 直列:電流の経路が1本で、各部品に同じ電流が流れる。
- 並列:電流の経路が分かれ、各枝に同じ電圧がかかる。
- 直列の合成抵抗:R = R₁ + R₂ + …。
- 並列の合成抵抗:1 / R = 1 / R₁ + 1 / R₂ + …。
- 接点回路:直列はAND、並列はORの条件をつくる。
まずは「直列は電流が同じ、並列は電圧が同じ」を覚えましょう。そこから電流の経路を追うと、抵抗の計算も、制御回路の動作条件も理解しやすくなります。


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