ELECTRICAL BASICS / 電気の基礎
電気の仕事をするなら、最初に押さえたいのが「電流」「電圧」「抵抗」です。そして、この3つの関係を結びつけるのが「オームの法則」です。
配線やブレーカー、機器の仕様を読むときにも、A・V・Ωの意味がわかると理解しやすくなります。この記事では、それぞれの基本と計算方法を、現場で見かける200V・400Vの話も交えながら解説します。
電流|アンペア
どれくらいの電気が流れるか
電圧|ボルト
電流を流すもとになる電位差
抵抗|オーム
電流の流れにくさ
電流とは?|電気が流れる量
電流とは、一定時間に流れる電荷の量を表すものです。初心者向けには「どれくらいの電気が流れているか」と考えるとイメージしやすいでしょう。
単位はA(アンペア)、計算式で使う記号はIです。たとえば5Aと10Aなら、10Aのほうが大きな電流です。
現場では、配線やブレーカーに関係する
配線には、安全に流せる電流の目安となる「許容電流」があります。電流が大きくなると、配線の抵抗による発熱も増えるため、負荷に合った配線を選ぶことが重要です。
たとえば「14sqのケーブルでどれくらい流せるか」を考える場合、導体の断面積だけで答えは決まりません。ケーブルの種類、周囲温度、配線方法、束ね方などによって許容電流は変わります。
機器の銘板や仕様書にある電流値を読む習慣をつけると、配線や保護機器を考えるための基礎が身につきます。
20Aのブレーカーは、20Aを少し超えた瞬間に必ず切れるわけではありません。遮断までの時間は電流の大きさや動作特性によって変わります。ブレーカーの定格電流と配線の許容電流は、それぞれ確認する必要があります。
電圧とは?|電流を流すもとになる電位差
電圧とは、2つの点の間にある電位の差です。「電気を押し出す力」とたとえられることもあります。
単位はV(ボルト)です。電圧は「2点間」の値なので、回路のどことどこの間を見るかによって意味が変わります。
100V・200V・400Vはどこで使われる?
| 電源の例 | 代表的な用途 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 単相100V | 家庭用コンセント、家電など | 機器の定格電圧・消費電力 |
| 単相200V | 一部の家庭用エアコン、IHなど | 100V機器との取り違え |
| 三相200V | 工場のモーター、業務用設備など | 電圧に加えて、相数や周波数 |
| 三相400V級 | 工場・建物の動力設備など | 実際の電源電圧と機器の対応範囲 |
200Vには単相と三相の両方があります。「200Vだから使える」と判断せず、機器に指定された電圧・相数・周波数を確認しましょう。
また、電圧が高いほど、機器の性能が必ず高くなるわけではありません。機器は指定された電源で動くように設計されています。
抵抗値が同じなら、電圧を高くすると電流は大きくなります。一方、同じ電力を使う抵抗負荷では、電圧が高いほど必要な電流は小さくなります。何を同じ条件として比べるかが大切です。
抵抗とは?|電流の流れにくさ
抵抗とは、電流の流れにくさを表すものです。単位はΩ(オーム)、計算式で使う記号はRです。
同じ電圧をかける場合、抵抗が大きいほど電流は小さくなり、抵抗が小さいほど電流は大きくなります。
配線にも抵抗がある
電線は電気を流しやすい材料でできていますが、抵抗がゼロというわけではありません。同じ材料・温度で比べると、電線が長いほど抵抗は大きく、導体の断面積が大きいほど抵抗は小さくなります。
配線の抵抗に電流が流れると、電圧降下と発熱が生じます。長い配線や大きな電流を扱う回路では、これらも考慮する必要があります。
ヒーターとモーターは、分けて考える
電気ヒーターは、抵抗によって電気エネルギーを熱に変える代表的な機器です。抵抗負荷の基本を考える例として適しています。
一方、モーターにも巻線の抵抗はありますが、運転中の電流を巻線抵抗だけで求めることはできません。交流モーターではインピーダンスや回転状態、機械的な負荷なども関係します。
モーターの抵抗を測って「電圧÷抵抗」を計算しても、定格電流にはなりません。モーターの電流を確認するときは、銘板・仕様書・運転条件を確認します。
オームの法則とは?|電圧・電流・抵抗の関係
ここまでの電圧・電流・抵抗を結びつけるのが、オームの法則です。抵抗値を一定として扱える抵抗負荷では、次の関係が成り立ちます。
OHM’S LAW
V = I × R
電圧[V]= 電流[A]× 抵抗[Ω]
この式では、Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗を表します。電圧の記号と、ボルトの単位記号は、どちらもVです。
求めたい値に合わせて、式を変える
| 求めたいもの | 公式 | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 電圧 V | V = I × R | 電流 × 抵抗 |
| 電流 I | I = V ÷ R | 電圧 ÷ 抵抗 |
| 抵抗 R | R = V ÷ I | 電圧 ÷ 電流 |
計算例|200Vを5Ωの抵抗にかける場合
EXAMPLE|電流を求める
抵抗値を5Ωで一定とみなせる抵抗負荷に、200Vをかけるとします。求めたいのは電流なので、I = V ÷ Rを使います。
= 40A
この条件では、40Aの電流が流れると計算できます。交流の場合は、純抵抗負荷にかかる電圧と電流の実効値として考えます。
実際のヒーターでは、温度によって抵抗値が変わることがあります。上の計算は、抵抗値を一定とした基本例です。
電圧や抵抗が変わると、電流はどうなる?
| 電圧 | 抵抗 | 電流 |
|---|---|---|
| 100V | 10Ω | 100 ÷ 10 = 10A |
| 200V | 10Ω | 200 ÷ 10 = 20A |
| 200V | 20Ω | 200 ÷ 20 = 10A |
抵抗が同じなら、電圧が2倍になると電流も2倍。電圧が同じなら、抵抗が2倍になると電流は半分になります。
現場では、計算結果から何を確認する?
オームの法則で求めた電流は、負荷を理解するための出発点です。ただし、計算した電流値だけで、配線の太さやブレーカーの定格を決めることはできません。
実際の選定では、次のような条件も確認します。
- 負荷の仕様:定格電圧、定格電流、運転時間、始動電流など。
- 配線の条件:ケーブルの種類、許容電流、周囲温度、配線方法など。
- 配線の長さ:機器までの電圧降下が問題にならないか。
- 保護機器の仕様:定格電圧、定格電流、遮断容量、動作特性など。
まずは電圧・電流・抵抗の関係を理解し、そのうえで機器の仕様や配線条件を確認する。この順番で学ぶと、基礎を実務につなげやすくなります。
まとめ
- 電流:一定時間に流れる電荷の量。単位はA(アンペア)。
- 電圧:2点間の電位差。単位はV(ボルト)。
- 抵抗:電流の流れにくさ。単位はΩ(オーム)。
- オームの法則:V = I × R。電流はI = V ÷ Rで求める。
- 現場での確認:電源の電圧・相数と、機器や配線の仕様を合わせて確認する。
大切なのは、公式を覚えるだけでなく、「電圧や抵抗が変わったら、電流はどう変わるか」を理解することです。まずは簡単な抵抗負荷の計算に慣れて、配線やブレーカーの知識へつなげていきましょう。

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