CONTROL & PLC / 制御の基礎
モーターを始動すると、制御盤の中で「カチッ」と動く機器。そのひとつが、電磁接触器です。現場では「マグネット」や「コンタクタ」と呼ばれることもあります。
電磁接触器は、電磁石の力で主接点を開閉し、モーターなどの負荷への給電を切り替える機器です。リレーと基本原理は似ていますが、主な用途や接点の設計が異なります。
この記事では、コイル・主接点・補助接点の役割を図で確認しながら、動作の仕組み、リレーとの違い、選定時の注意点を解説します。
電磁接触器とは?
電磁接触器は、コイルを電磁石として働かせ、主接点を開閉する接触器です。英語ではMagnetic Contactorと呼ばれ、図面ではMCなどの記号が使われます。
ただし、機器記号は図面のルールによって異なります。KやKMなどの表記もあるため、図面の凡例を確認してください。
代表的な用途は、ポンプ、ファン、コンベヤーなどのモーターの始動・停止です。ヒーターや照明などにも、負荷に適した製品が使われます。
コイルへの指令で主接点を動かし、別に接続された主回路を開閉します。コイルに加えた電圧が、そのまま主接点から出力されるわけではありません。
構造図|コイル・主接点・補助接点の役割
電磁接触器は、主に電磁石を構成するコイルと鉄心、主接点、補助接点、復帰機構などから成ります。
STRUCTURE|役割を分けて見る概念図
コイル|接点を動かすための入力
指定された電圧をコイルへ加えると、電磁石が働いて可動部を引き寄せます。AC操作・DC操作などの種類があり、定格電圧や周波数を合わせて使います。
主接点|負荷への給電を開閉する
主接点は、モーターなどへ電力を供給する主回路に入ります。三相モーター用では、3極の主接点を連動させて使う構成が代表的です。
開閉時のアークを処理する構造なども備え、対象の負荷を繰り返し開閉できるよう設計されています。
補助接点|制御や表示に使う
補助接点は、自己保持、運転状態の通知、インターロックなどに使います。主接点とは定格が異なるため、同じ電流を流せるとは限りません。
ON/OFFで接点はどう動く?
ここでは、コイルへの入力を切ると復帰する一般的な電磁接触器を考えます。主接点はa接点、補助接点はa接点とb接点を持つ例です。
OPERATION|コイルと接点の状態比較
- コイルへ入力:電磁石が可動部を引き寄せる。
- 主接点が閉じる:主回路が成立し、負荷へ給電する。
- 補助接点も切り替わる:a接点が閉じ、b接点が開く。
- 入力を切る:通常の復帰形では、主接点と補助接点が元の状態へ戻る。
主接点が開いても、モーターはすぐに停止するとは限りません。慣性で回り続ける場合があります。また、主接点が溶着する故障や、入力を切っても状態を保持するラッチ式などもあります。
リレーとの違いは?
一般的な電磁リレーと電磁接触器は、電磁石で接点を動かす点が共通しています。大きな違いは、対象とする負荷と開閉能力です。
| 項目 | 一般的な制御用リレー | 電磁接触器 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 信号の中継、制御回路の開閉 | モーターなどの電力負荷の開閉 |
| 接点 | 用途に応じたa・b・c接点など | 主接点と、必要に応じた補助接点 |
| 選定で見るもの | 接点定格、負荷種類、信号レベルなど | 負荷の使用負荷種別、電圧、電流、開閉頻度など |
| 基本原理 | コイルの電磁力によって機械接点を動かす | |
「何A以上なら必ず電磁接触器」という一律の境界ではありません。パワーリレーなどもあるため、名称や見た目ではなく、負荷条件と製品仕様で判断します。
主回路と制御回路は、電圧が同じとは限らない
主回路は負荷へ電力を送る回路、制御回路は接触器のコイルなどを動かす回路です。
たとえば、三相200Vのモーターを開閉する接触器でも、コイルがDC24V仕様の構成があります。コイル電源は別に用意し、定格に従って接続します。
主接点の負荷定格と、コイルの操作電圧は別の仕様です。交換するときも、それぞれ確認しましょう。
PLCからコイルを操作する場合は、PLC出力の方式・容量、コイルの投入時電流、サージ対策などを確認します。必要に応じて中継リレーを組み合わせます。
電磁接触器と電磁開閉器の違い
モーター用の一般的な構成では、電磁接触器とサーマルリレーなどの過負荷保護装置を組み合わせたものを電磁開閉器と呼びます。
MAGNETIC CONTACTOR
電磁接触器
主接点を開閉して、負荷への給電を切り替えます。
MAGNETIC STARTER
電磁開閉器
接触器による開閉と、サーマルリレーなどによる過負荷検出を組み合わせます。
典型的な構成では、サーマルリレーが過負荷を検出すると、その接点で接触器のコイル回路を切り、主接点を開かせます。
サーマルリレーが、ブレーカーのように主回路を直接遮断するとは限りません。検出部分と、実際に電力を開閉する部分を分けて考えましょう。
ブレーカーとは何が違う?
電磁接触器は、主に運転指令に従って負荷を繰り返し開閉します。一方、配線用ブレーカーは過電流を自動遮断し、配線を保護します。
電磁接触器単体には、通常、過負荷や短絡を検出して自動遮断する保護機能はありません。負荷や配線に合った保護装置を組み合わせます。
また、電磁開閉器を使っていても、短絡保護まで不要になるわけではありません。ブレーカーやヒューズとの保護協調を確認します。
補助接点は、自己保持やインターロックに使う
自己保持|始動ボタンを離しても運転を続ける
接触器の補助a接点を始動ボタンと並列に入れると、接触器が動作した後、自分の接点を通してコイルへの通電を続けられます。
停止条件で共通の経路を切ると、コイルが非励磁となり、通常の復帰形では主接点が開きます。
インターロック|相手側の投入を禁止する
正転・逆転回路では、一方の接触器の補助b接点を、相手側のコイル回路に入れます。片側の動作中に、もう片側が投入されることを防ぐためです。
正逆転用接触器では、機械的インターロックなども含め、メーカーが指定する構成を使います。相互のb接点だけで、あらゆる同時投入を防げるとは限りません。
電磁接触器を選ぶときの確認ポイント
負荷に合った使用負荷種別で選ぶ
電磁接触器の定格は、負荷の種類や開閉方法に応じて示されます。代表的な使用負荷種別には、次のようなものがあります。
| 種別 | 代表的な用途 |
|---|---|
| AC-1 | 抵抗負荷など、非誘導または低誘導性の負荷 |
| AC-3 | かご形誘導電動機の始動、通常運転中の開路 |
| AC-4 | かご形誘導電動機のインチング、逆相制動など、厳しい開閉 |
同じ接触器でも、AC-1とAC-3では定格使用電流が異なる場合があります。表示された大きな電流値だけで、モーターへの適用を決めないようにしましょう。
モーター容量は、使用電圧とセットで確認
メーカーの適用容量表には、電圧ごとに対応するモーター容量が示されます。同じkWでも、電圧や負荷条件が変われば必要な選定も変わります。
- 主回路:電圧、相数、負荷種類、運転電流、始動条件。
- コイル:AC・DC、操作電圧、周波数、許容変動範囲。
- 補助接点:必要なa・b接点の数、使用する電圧・電流。
- 運転条件:開閉頻度、インチングの有無、必要な寿命。
- 設置条件:周囲温度、盤内配置、端子、適合電線。
- 保護装置:過負荷・短絡保護との組み合わせ。
「うなる」「入らない」「切れない」ときの見方
動作不良の原因は、コイル回路・機構・主接点・負荷回路に分けて考えます。
| 症状 | 確認する観点 |
|---|---|
| 投入しない | 操作電源、停止・保護条件、コイル定格、配線、コイル故障 |
| 大きなうなり・ばたつき | コイル電圧、周波数の適合、可動部や鉄心の異常 |
| 動作音はするが負荷が動かない | 主回路の電源、主接点、負荷側配線、負荷の状態 |
| 指令を切っても止まらない | コイルへの継続通電、接点溶着、別経路からの給電、機械の惰性 |
動作音や補助接点の状態だけで、すべての主接点が正常と判断することはできません。安全機能で接点状態を監視する場合は、ミラー接点などの指定性能と回路構成を確認します。
接触器を手で押して運転したり、保護接点を短絡して復旧したりしないでください。点検は電源遮断・再投入防止・無電圧確認など、設備の手順に従って行います。接触器OFFだけを、点検時の電源隔離の代わりにしないことが大切です。
まとめ
- 電磁接触器:電磁石の力で主接点を開閉する機器。
- コイル:接点を動かすための入力を受ける。
- 主接点:モーターなどへの給電を開閉する。
- 補助接点:自己保持、表示、インターロックなどに使う。
- 選定:負荷の種類、電圧・電流、操作電源、開閉条件を確認する。
- 保護:過負荷・短絡保護は適切な装置と組み合わせる。
電磁接触器は、「コイルで動かし、主接点で電力を切り替え、補助接点で制御をつなぐ」と考えると整理できます。リレーや自己保持の知識を、モーター制御へつなげる重要な機器です。


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